<東北復興プロジェクト>東北キャンプ2日目

2017年4月27日

早朝、この日の子ども達はまたぎの様な1日のスタートでした。こすもす公園に飛び出して、自生している沢山のつくしを両手に一杯にしながら摘み取ります。続いて、子ども達はまた新たな食材を取るべく裏山へと移動しました。裏山ではつくしに加えてヨモギやワラビなどが生えています。藤井さんに教えてもらいながら中腰になり、目を凝らして、周りと競う様にしてワラビを採集していました。その成果か、全員が山菜で腕をいっぱいにしながら母屋へと戻りました。

次は、みんなが得意とするお絵かきの時間です。こすもす公園の独特な風情と阿部恭子先生がお描きになった、どこからでも常時目にすることのできる43メートルにわたるビビットで力強い壁画を描いてゆきます。みんなよく観察しながら色鮮やかに描けていました。お絵かきを終えると、釜石で初めての食事の時間がやってきます。横にある暖炉の暖かみや燻製のようなスモーキーな香りを鼻で感じながらの朝食です。現代ではなかなか暖炉のある家はないため、子ども達にとっては初めて薫る匂いだったかもしれません。全て岩手県産のシンプルながら贅沢な御膳が並びます。もちろん完食し、またこすもす公園を駆け回りにいきます。

公園内の遊具は、すべてが手作りで、使用感のある独特な温かみを持ち合わせています。中心には大きな木で出来たピノキオの滑り台が置かれているのですが、木の温かみのある分、やはりどうしても腐食が進んでしまうようで、その大きな滑り台は再建に向けて工事されていました。子ども達は残念そうにしつつも、それなら手伝おう!ということに。棟梁直々にやり方を教わり、丸太の皮を金属製のヘラを使って剥がしていきます。実際に木に刃を入れて皮を剥がしてみるとその感覚が無性にやみつきで、子ども達も一心に木と向き合います。

仕上げを棟梁たちにお願いして、藤井さんの先導のもと、インスタントカメラを首に下げて裏山を登りにいきます。ここでも道中のタンポポやつくし、イガ栗などに目を奪われつつ、神社へと向かいました。SL蒸気機関車の通る踏切を超え、長閑な田舎道を歩いて長い階段を登ると、急勾配な山道が現れ、そこを登ると、人に知られずひっそりと佇む歴史を感じる神社が現れました。子ども達は手を合わせ、思い思いの願い事をして神社を去りました。

母屋に戻ると、今度はアクリル絵の具を使ったお絵かきが始まります。広い公園内に散らばり、それぞれお気に入りの場所から”希望の壁画”の下書きをします。それぞれ非常に精巧な模写をしていて、驚きました。次は色彩鮮やかで壮麗な壁画に近づけるべく、アクリル絵の具で丁寧に色をのせていきます。阿部恭子先生から教えていただいた、色を混ぜて自分のオリジナルの色を作るというアドバイスのもと、子ども達はパレットと画用紙に向き合っていました。完成した頃には白い部分がなくなるほど画用紙がオリジナルな色で溢れていました。集中している子ども達のところへ、背後からぞろぞろと子ども達の何倍もの体重はあろうかという強豪ラグビーチームの釜石シーウェイブスの選手方が遊びに来てくださいました。選手の皆さんは、絵画を見ると褒めてくださったり子ども達と様々なお話をしてくださいました。
今度は釜石シーウェイブスの選手達と遊ぶという非常に貴重で得難い時間が始まります。ボール遊びや鬼ごっこ、ちょっかいを出す子ども達を追いかけたりと、こすもす公園を小さな体と大きな体がかき回し、全力で気さくに遊んでくださいました。全選手に直接サインを頂き、お別れの際には選手の身に付けていたバッジもプレゼントしてくださいました。

十二分に遊び終え、昼食の時間がやって来ます。昼食の献立はカレーに、自分たちの手で採集したつくしやヨモギの天ぷら、つくしの炒め物です。自分たちで採った風味豊かな山菜で口を一杯にしながら、美味しく味わっていただきました。食事を終えるとSL蒸気機関車がもうすぐ丘の上を通過すると藤井さんが教えてくださり、我々は急いで丘の上へと駆け上がり、SLの尻尾と汽笛を堪能することができました。
母屋に戻ると、使い慣れたはさみとのりで、オリジナルのカバン作りをしました。子ども達が十人十色なカバン作りを終え、テラスでアクリル絵画の残りの仕上げをしつつ、ふと公園に目を向けると、今日完成する予定ではなかったはずのピノキオ滑り台が完成していました。子ども達が今日滑れるよう、棟梁達が一生懸命に予定よりも早いペースで作ってくださったのです。みんな念願のピノキオの滑り台へ走ってゆき、長く急勾配なできたての滑り台をみんな大きな声をあげて楽しんでいました。

今度は大縄遊びが始まりました。大縄はまだ不慣れで、上手くいきませんでしたが、練習を重ねていると最後には数回、全員で合わせて跳ぶことができるようになりました。子ども達が遊んでいる横では、みんなが楽しみにしているバーベキューの準備が行われます。藤井さんがわざわざ仕入れに行ってくださった大きなホタテや新鮮なイカ、野菜、そして大量のお肉など美味しそうな食材が用意されていました。準備が整い、バーベキューが始まった所で落ちてゆく太陽と入れ替わる様に学校を終えた後発組がやって来ました。棟梁や子ども達がお誘いした釜石シーウェイブスの方も参加してくださり、賑やかなバーベキューとなりました。終盤にはちょうどこの日の夜がピークである、こと座流星群の流れ星が頭上を流れ、子ども達も手を止めて空を見上げ「今見えた!」などと星空に向かって声をあげていました。恵まれた環境と天気があってこそ成せた、この日だけの格別なバーベキューとなりました。

選手たちをお見送りすると、藤井さんの昔ながらで情緒のあるお家へお邪魔し、お風呂を使わせて頂きました。交代でお風呂に入る間に、日記など毎日やるべきことももちろん済ませます。朝から休むことなく遊びつづけた子ども達は、そのまますぐにペンターハウスへと吸い込まれてゆきました。

磯邊季里 @ 2017年04月27日 12:30 コメント: (0)

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