<東北復興プロジェクト>東北キャンプ1日目

2017年4月27日

いつもとはひと味もふた味も違う今回の東北キャンプ、普段の遠足であればすでに解散している17時30分、子ども達は大きなリュックを背にして、買いたての駅弁を大切そうにしながら、毎度の元気な姿で東京駅22番線ホームに集まりました。小学生中心のキャンプ、参加常連の子どもが多くいます。対して私は初めての参加なので、「え、こうのすけ初めてなの?」「これからこういう所に行くんだよ」など先輩達に手ほどきを受けながら新幹線の到着を待ちました。そうこうしているうちに我々が乗る新幹線、はやて115号がこちらにやって来ました。お母さんとの暫しの別れをして、しっかりとした足取りで新幹線に乗り込みます。心配そうな、寂しそうな表情のお母さん達とは反対に、新一年生から「もう十分行ってきますしたよ」という声が聞こえ、子ども達の成長とたくましさを感じた一幕でした。

新幹線がいよいよ動き出し、我々は岩手県釜石市へ向かいました。
これからの長旅に備え、まずは腹ごしらえです。男の子たちは自慢の新幹線の形の駅弁を袋から取り出します。よほどお腹が空いていたのかあっという間に食べ終えていました。あっち向いてホイやくすぐり合いっこ、指遊びなど車内でできる可能な限りの遊びをしながら2時間ほど新幹線で過ごしていると、乗り換え地点の新花巻駅に到着しました。

ここからは夜の釜石線の旅へと様変わりします。改札から歩いて3分ほどにある駅から出発なのですが、そこは東京では見ることのできない郷愁を感じられる様相で、ホームの周りには街灯もなく暗闇と静寂に包まれていました。子ども達も東京では感じることのない雰囲気を肌で感じているのか、静かに電車を待っていました。しばらくすると、汽笛の音が遠くに聞こえ、次に目を向けると電車のライトが微かに見え、子ども達は前のめりになってお出迎えをします。電車の強い明かりに照らされ、そこで初めて駅周辺の一部の様子を垣間見ることが出来ました。

暖かみのある車両はゆっくりと我々の目の前に停まり、子ども達はいつもとは違った雰囲気の電車に乗り込みます。約1時間半の車内でも子ども達はまだまだ元気です。曇った車窓にいくつもの手からそれぞれオリジナルな絵が披露され、1車両のみの鈍行列車は、子ども達による画廊として生まれ変わっていきました。そしてその車窓からは時折鹿が見られ、皆釘付けになっていました。せわしく流れる車窓の景色から何度も暗がりの中の鹿を見つけることができる子ども達の観察力に感心しました。ちなみにトンネル内にも鹿が入って来ることがあるようで、鹿などの動物対策として警笛を鳴らすようです。彼らにとっては、これから鹿を見る度に今回の車窓から見えた鹿の記憶が引っ張り出されるのでしょう。今後も1つの言葉から多方面に広げられるようその引き出しを増やしていって欲しいです。

移動中にも、新鮮で貴重な経験ができ、今回の電車旅の終着点である洞泉駅に停車しました。駅では今回大変お世話になる、こすもす公園を作られた古民家”創作農家こすもす”の藤井さんご夫妻が、お車でお迎えに来てくださっていました。ご夫妻は東日本大震災の時、生死の体験をしている子ども達の笑顔を取り戻そうと公園づくりを始めたそうです。そんなこすもす公園で思い切り遊べることをみんなとても楽しみにしています。ご挨拶をすると、ご夫妻は笑顔で我々をお迎えしてくださいました。ご夫妻の2台の車に乗り込み、車で10分ほど揺られるとそこだけ異空間のような雰囲気の公園が突然に現れました。子ども達には見慣れた光景の様子でしたが、私は初めて見る景色に、童心に戻り、車中でみんなと一緒に心踊らせていました。

車が停まると暗闇の中、こすもす公園探検が始まります。遠目の車内からでも独特の雰囲気を感じ取れましたが、実際に歩いて見ると手作りの遊具の持つ温かさや、装飾など細かな所までのこだわりが公園中に散りばめられていることに気づきました。去年が記憶に新しいのか、一寸先は闇であろうとも子ども達は怯える様子もなくどんどんと暗闇に突き進んで行きます。さすがに夜遅い為、この日は遊具で遊ぶことなく、公園内にあるペーターハウスに入ります。高く積まれた布団の上をアスレチックのようにピョンピョンと飛び跳ねつつ、寝る準備をします。全ての体力を出し切った子ども達は、布団に入るとすぐに夢の中へ。無事にこすもす公園に到着し1日を最後まで元気に終えました。

磯邊季里 @ 2017年04月27日 10:40 コメント: (0)

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