<東北復興プロジェクト>釜石こすもす公園ツアー第3日

2016年4月27日

4月24日(日)
いよいよ最終日です。今日も朝から子ども達の元気な声が聞こえてきました。時計を見ると6時。窓からは、陸中海岸がおだやかにみえ、朝日が昇ってきます。朝起きてまずワークショップ第2弾、牛乳瓶のグラスデコをします。それぞれが自分の好きな絵を描いて作っていました。学校のマークやハート、お花、好きな動物などみんな上手に作りました。

そのあとは、お勉強タイム。全員で日記を書きます。書くことが山ほど。どれを書こうかな?今回の日記のお約束は、「次は~をしました。たのしかったです。」という「次は~」の陳列はなしです。つまみ食いでない日記をみんなで目指します。どの子の背中も真剣そのもの。宿題もおわらせなきゃ!と自分で考えて、時間を使います。

そして朝ごはんをいただきます。昨日のキャンプファイヤーのお話を思い出し、一人一人が美味しいご飯を食べられることを感謝しながらいただきました。お日様もその様子を喜んでいるようで、食堂にも気持ちのよい光がさしこみます。食堂の方から、海のところに見えるのが「ひょっこりひょうたん島」と伺いました。なんと歌を知っている子がいましたよ。どうして岩手に来たのかをたずねられて、去年参加した小学生が、このキャンプの主旨をお話ししました。「私たちも聞きたい!」というリクエストに、お食事を作ってくださって、温かく迎えてくださったお礼に、お歌を皆でプレゼントしました。厨房の中で聞いてくださった皆さんは、割烹着で涙をぬぐっておられました。
「わざわざ東京から来てくれて、こんな笑顔をみせてくれた!元気をもらったよ!」と。
何度も何度も温かいありがとう!をいただきました。

ご飯を食べたら、みんなでお散歩に行きます。海の見える坂を下りていきます。綺麗な海に感動すると同時に、津波のお話しも聞きました。歩いているところにも津波がきた話を聞き、みんなで海は遠くに見えるのに津波はこんなところまで来るのだな、ということを実感しました。見えなくなるところまで手を振って、皆が見送ってくださいました。
釜石に向かう途中の堤防の高さや、5年も経ったのにまだ何も建っていなくて、土を平らにする工事をしているところが果てしなく続く道は子ども達の目にどう映ったのでしょうか?家も、学校も何もなくなってしまったことも目の当たりにしました。年長さんがちょうど生まれたころです。みんなは色々なことができるようになったのに、まだ復興は一向に進んでいないのが現状です。だからこそ、いつ何が自分たちにも起きるかを、小さくっても、知っていなくてはいけないのではないでしょうか?

 いよいよ待ちに待ったSLに乗りに行きます。駅に着くと、さっき見たひょっこりひょうたん島の碑がありました。駅の目の前には、鉄鋼の街の象徴の新日鉄釜石の工場から煙がもくもくと出ていました。また、2019年にはラグビーワールドカップがここで行われ、ラグビーの街でもあります。蒸気機関車の音が聞こえてきて、急いでホームに向いました。今年最初の運行なので、セレモニーが行われました。そこで、銀河鉄道がモチーフになった車両をお絵描きします。みんなが上手に描いているので、駅員さんからお褒めの言葉をいただきました。SLの中に乗り、こすもす公園を見ます。遠くで見た壁画は、近くで見た壁画とはまた別の迫力がありました。こすもす公園ではちょうど2周年の記念式典がはじまり、皆でSLに手をふっていました。

 こすもす公園に戻る途中、みんなで歌の練習をしました。小学生が幼稚園に教え、全員で歌えるようになりました。こすもす公園では2周年のお祝い・絵本・ログハウスの完成のセレモニーが行われていて、小高い丘が舞台のコンサートの後で「虹」に手話をつけ、歌を披露しました。心をこめて丁寧に上手に歌うことが出来ました。こすもす公園はいろいろな顔をもっていて、遊び場はもちろん、コンサートをしたり、ワークショップをしたり皆が楽しめ、癒される場所です。新しくできたピーターハウスでは、絵本の原画展をおこないました。実際に絵本になるまでの原画をみて、細かい絵をじっくり見入っていました。東京とは違い、記念式典のパーティーもすべて手作りです。
お食事も地元の方が皆で手料理を作り、振る舞います。心あたたまる会に、人との関わりの大切さを感じます。いつもこすもす公園にお邪魔すると皆が「おかえりなさい」と迎えてくださいます。とても忙しい東京の街、人とは異なる環境、人とのふれあいを子ども達は感じてくれたと思います。

最後のランチも「愛情弁当」を持ってお気に入りの場所でいただきます。展望台で景色を楽しみながら、ドラム缶のトンネルで食べる子、それぞれがたくさんの居場所を見つけました。これでおしまい!と思いきや、きょうこ先生の「最後のワークショップをします!」
というアナウンスで、点々としていた子ども達がきょうこ先生のところに集合します。先生はどんなに忙しくても子ども達のために時間を惜しまず指導をしてくださいます。だから、賢三をはじめ、小学生達はみんなきょうこ先生がだ~いすき!そばで甘えてみたり、時には厳しくお絵描きをしっかり教えていただいたり・・そんな様子をみていた年長さんだって、きょうこ先生が大好きになっちゃいました。だからきっとお絵描きを楽しむ種をまいていただき、たくさん描きたくなっています。どの子の絵も生き生きと、のびのびと描けるようになってきました。 最後のワークショップはこすもす公園のお花を描くことです。それぞれの子ども達がたくさんのお花を描きました。これは最後まで終わらなかったので宿題です。今回はたくさんの宿題があります。でもたくさん感じたこと、思ったこと、体験したことを思い出しながら仕上げて、きょうこ先生にお見せすることをお約束しました。きょうこ先生&いそべっちの掟!「一回で聞くこと!」これができなければ、誰も手伝ってくれないこと、このキャンプで少し体でおぼえたでしょうか?最後に壁画の前で、一年生の指導の下で作り、覚え、練習した「ありがとう」を歌いました。この歌詞の中には、こすもす公園で過ごしたたくさんの思い出、きょうこ先生、お父さん、お母さんへの感謝の気持ちがはいっています。

いよいよ東京に向います。運行本数の少ない釜石線に乗ることをあきらめ、皆様のご厚意で運転をお願いし、バスで新花巻まで向かいます。今年はたくさんのお友達だったので、バスにも乗り切れず、お父さん、藤原さんなどが車を出してくださいました。こすもす公園のお父さん、お母さん、きょうこ先生にありがとうございましたとお礼のご挨拶をしてお別れします。皆が見えなくなるまで、子ども達もずっとずっと「ありがとう」の歌を歌っていました。新花巻きでは、宮沢賢治のモニュメントの公園で恒例のつくしとりです。東京で待っているお母様方へのお土産をたくさんたくさんつみます。最後の最後まで、みんなで鬼ごっこをしたり、お友達との時間を大切に思いっきりすごします。
とてもがんばったので、アイスクリームを岩手の空気とともにいただき、おいしい顔がひろがりました。どこに行ってもお歌を口づさんでいる子どもは、充実しているのと心が穏やかでいるので、とても優しいお顔をしています。

帰りは「はやぶさ」に乗りました。17両編成の長い新幹線。
電車に乗り込むと、まずは日記タイム。いつもならみんなで向かい合わせにする座席も、勉強机に早変わり。年長さんもお手本の小学生を見習い無心に絵を描いていました。何を描こうかな?と思う間もなく、筆が進みます。やはりまだまだ復興ができていない景色は印象的だったし、また東北の方々のあたたかい受け入れを肌で感じたことが描かれていました。日記の後は、やるべき勉強。全員一生懸命に取り組みます。
やるべきものは、全部こなしました。気が付けば、7時。宮沢賢治弁当をみなでいただきました。長い道のりのはずも、あっという間に大宮・上野とアナウンスが聞こえてきました。東京駅では、首を長ーくして帰りを待つお父様お母様が窓からみえてきました。

三日間盛り沢山でした。この三日間で子ども達が得たものは普段のお稽古では得られないものだと思います。この三日間を忘れず、毎日を大切に過ごしていければ良いなと心から思います。そして、当たり前のこと、出来ているべきことを「こころえ」として、これから大切に過ごしてください。

磯邊季里 @ 2016年04月27日 10:41 コメント: (0)

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