<こひつじかい>お茶摘み遠足

2017年5月18日

土曜日はあいにくの雨天となり、日曜日に延期された今回のお茶摘み遠足。早朝、多くの子ども達が元気良く田園調布駅前に集合します。出発の時間となり、今日初めて遠足に参加する子どももいるなか、今回はお母さんお父さんへの 行ってきますと手を振りながら、改札口を列をなして過ぎてゆきました。 乗り継ぎ間の距離も遠く回数も多かった今回の電車旅ですが、ペアで手と手をしっかりと繋いで、せっせと東横線から南武線、小田急線へと乗り換えることができました。車中では、色々な手遊びを楽しんで秦野駅まで向かいました。秦野駅に着くと、今度はバスに乗り換えて茶畑の近くへと向かいます。

バスを降りると、毎年恒例の茶畑までの新緑の風を感じながらの山登りが始まり、自然浴を子ども達は、身体で覚えてくれたと思います。「風がいいにおい!」「葉っぱのにおいがするよ!」など表現豊かな言葉が飛び出し、驚かされました。一人一人が力を振り絞って汗をかきながら楽しんでいました。根気よく山道を走っていると先頭のグループは20分ほどで、ようやく今回お世話になる”わさびや茶園”に到着しました。到着するとすぐに茶畑が一面に望め、より茶葉の香りをしっかりと感じることができます。

早く着いた子は、茶摘み娘の正装である”茜襷と菅の笠”作りをしながら、後続組の到着を待ちます。山間部を流れる風で笠が飛ばされそうになりながらも、全員が 山中での工作を上手に作ることができました。早速自分たちで作った衣装を身につけ、 一面が新緑でいっぱいの茶畑の中に子ども達がどんどんと入ってゆきます。毎年お世話になっている松本さんに茶摘みの基本である”一芯三葉”の説明を受けると、子ども達は目線を一点に集中しながら”一芯三葉”の言葉を頼りに、芯から3枚目の葉っぱまでをリズムよく摘み取ります。しばらく摘み取っていると茶葉をちょっと食べてみようという提案があり、茶畑でしかできない試食会が始まりました。子ども達からは『にがーい』という声が 多くあがっていました。

茶摘みには一芯二葉、 四葉、五葉と様々な摘み方があり、それぞれ味わいや成分が異なるようで、今回は流通しているほとんどの手摘みの茶葉と同じ摘み方である”一芯三葉”で茶摘みを行いました。現在は機械で摘むことが主流となっているそうですが、機械では余分な葉も一緒に摘み取ってしまうため、やはり手摘みが一番良いとのことでした。それぞれのチームのカゴが茶葉でいっぱいになったところで終了の合図となり、摘んだ茶葉を大切そうに持ちながら丘を登り、イメージが強く記憶されているうちに、 茶畑を望みながらその様子を思い思いに描きます。

山々に囲まれた茶畑のため、しおりは自然と新緑いっぱいの鮮やかな絵に仕上がりました。絵を描き終えると次に、実際に自分たちの摘んだ茶葉はどのようにして生まれ変わるのかを学ぶため、工場見学が始まります。工場内に入るとまず、お茶の葉の香りと湿気や熱、機械音などを五感で感じることができます。足を進めるたびに徐々に変わっていく茶葉の姿に子ども達も思わず『すごい!』などと目の前を流れてゆく茶葉に真剣な眼差しを向けながら、それぞれの工程に驚嘆している様子でした。お茶摘みと工場見学を終え茶葉の収穫から加工まで学び終えると、昼食の時間がやってきます。

今回 は、お母様が作ってくださったおかずに加え、茶葉の天ぷら、バジルの代わりに茶葉をのせたマルチャリータと丹沢の清流が運ぶ、流しそうめんをいただきます。揚げたての茶葉の天ぷらが運ばれてくると、子ども達はその天ぷらの周りを囲み、すぐにお弁当のおかずとして加えていました。天つゆなどにつけずに、そのままの味わいの方が茶葉の風味を感じられ、熱を加えたことにより茶畑で感じた苦味もなく、大喜びで美味しく頂きました。

次に子ども達は茶畑の端を流れる小川へ降ります。わさび作りに利用される綺麗な水に足を冷やしながら、全くの自然の中で竹の上を流れてくるそうめんを、小さい子も懸命になって自分のお箸で掴むと、満足そうに口に運びます。全員がお腹いっぱいに茶葉の天ぷらやピザ、そうめんを食べたところで、とうとう茶畑を出発する時間になりました。

着替えと身支度をすませ、行きに駆け上がってきた自然豊かな山道を今度は駆け降りてゆきます。下り坂は楽々と思いきや、勝手にあがるスピードをコントロールして足を進めるのは結構大変です。全員必死の表情で、バス停を目指します。その頑張りから例年よりも早いスピードでバス停に到着しました。何よりも、くたくたのはずの帰りの電車は、笑顔が弾けていました。本当に子ども達から素敵なプレゼントをもらった瞬間でした。田園調布駅での解散も、磯邊先生にお褒めの言葉を頂いたからか、こころなしかいつもより元気良くさようならの挨拶をできているように感じました。どんなに小さくても、自分 で存分に頑張る力を子ども達は持っています。自分で考えて行動できるたくましさを、私たち大人は周りから気付かれないように後押しをする、風のような存在でいたらと感じる一日でした。守って育てることももちろん大切ですが、地に足をつけ、歩んでいけるができるよう、応援してあげたいです。

磯邊季里 @ 2017年05月18日 12:55 コメント: (0)

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