<バンコク>チャイルドコネクトセミナー「親子で楽しむ絵本の世界」

2016年6月3日 / 未分類

5月26日(木)、バンコクのメロディー幼稚園に新しくできたセミナールームで、絵本をテーマにお話しをしました。セミナールームは2階にあり、1階にはキッチンがありました。絵本のテーマとは少し離れますが、せっかくなので少しご紹介すると、お米をテーマにしたコーナーがあり、炊き込みご飯やカップに入れたちらし寿司などが紹介されていました。ちょうど5月初旬にこいのぼりをイメージし、カップに入れたちらし寿司などをご紹介したことが思い出され、なんだか少しうれしくなりました。食育に関する新聞記事が紹介されていたり、どんな果物が隠れているか、クイズのように想像させる写真があったり、タイの果物の旬がわかるカレンダーを見れば、5月においしい果物がたくさんあることがわかったりと、メロディー幼稚園では普段から食育を大切に行っていることが伝わってきました。

 園内を見学させていただいていて目に留まった言葉があります。「明るく強く考える」、なんて素敵な言葉でしょう!日本にいなくてもどこにいても、気を付けていれば出来ることがたくさんある、そう思わされました。
 さて、セミナーでははじめの一時間を使って絵本のお話をし、残りの30分ほどでお母様方に実際に子ども達との絵本の時間を楽しんでいただきました。セミナーの冒頭ではいつものように、「このセミナーが終わった後、どうなっていたら最高ですか?」という問の答えを書いていただきました。日本のセミナーでも度々お話ししていますが、書く大切さ、書くことで記憶に残るということを覚えていてほしいと思います。それはきっと子ども達にも伝わることでしょう。
 お母様方の子どもの頃の愛読書は何ですか?思い出せることを伺ってみました。その本をお子さんに読んであげているでしょうか。絵本について、ご自身の出会いや付き合い方をまず考えていただきました。いろいろと便利な世の中になりましたが、海外に住んでいると絵本選びが気楽にできず、日本に帰ったときにまとめ買いすることがあるかもしれません。絵本との付き合い方は、たくさんの本とではなく「今はこれだけ!」と限られたものを大切に読むのも良いことです。絵本を選ぶときは、前述のようにお母様ご自身の思い出の絵本はもちろん、絵の美しい絵本は感性を磨いてくれますし、言葉のリズムが楽しい絵本、洗練された美しい日本語で綴られた絵本など、やはり昔から読み継がれてきた絵本にはきらりと光る魅力があるように思います。お父様やお母様のお気に入りの絵本なら、きっと子ども達といっしょにわくわくしながら絵本の世界を楽しむことができるでしょう。子どもの年齢によっては絵本の内容を細かく理解できなかったとしても、お母様のおひざに抱っこされたりお父様のあぐらをかいた足の上に乗せてもらい、一緒にページをめくりながら絵本を読んでもらった優しい声やぬくもりはずっとその子の心の中に残るものです。このように築かれた信頼と絆は生涯消えず、子どもが思春期や青年期になったときにも心の支えとなるでしょう。
 絵本には親子のかけがえのない宝が潜んでいると言いますが、ただ子どもに絵本を渡すだけでは宝箱はひらきません。宝箱を開けるには大人の言葉、お父様やお母様の声で読んであげることで命が通うのです。
 お話しを終え、実際にお母様方に絵本の読み聞かせをしていただきました。今回は3歳までの子ども達が参加しています。セミナーの後ということもあり、各自工夫しながら楽しい絵本の時間を過ごせたと思います。実際には15分くらいだったと思いますが、ゆったりとした時間が流れました。ご家庭でも、このくらいの時間でかまわないので、ぜひ絵本を介した親子のゆったりとした、けれどもとても濃い時間を過ごしていただきたいと思います。
 『ぴょーん』という絵本を使ってお母様達と子ども達と一緒に体操をしました。かえるや猫など色々な生き物が、身構えたかと思うと次のページで元気にぴょーんと飛び上がるというシンプルな内容ですが、生き物の動きに合わせてみんなで「ぴょーん」と飛び上がってみました。絵本には書かれていない言葉も加えながら、楽しむことができました。

 最後に、桃太郎の歌をみんなで歌った後、お母様方に桃太郎のお話を子ども達に話していただきました。絵本はありませんが、日本人なら誰もが知っているお話しですので、語り聞かせることができたと思います。このような昔話なら、おじい様やおばあ様もよくご存じです。そんなお話を子ども達へも伝え、つながっていくことができるという絵本のすばらしい一面を感じていただけたのではないでしょうか。
 セミナー終了後にいただいたアンケートには、時間が足りないといったご意見がありました。1時間のうち、私が一方的にお話をするだけではなく、参加されたお母様どうしのお話合いの時間を設けたことも、時間不足の一因でしょう。しかしこのようなセミナーがお母様達の出会いの場となることは大変意味のあることだと思います。時間設定については再考していきたいと思います。この他には「時間がないという言い訳をせず、子どもと一緒に絵本をにふれる時間を作りたい」、「ただ絵本を与えるのではなく、読んであげることが大切だとわかった」という感想をいただきました。こちらがお伝えしたかったことを受け止めていただけたと思い、満ち足りた気持ちになりました。
 今回のセミナーの経験を活かし、またこの和やかな雰囲気のなか、皆様の大切な子育てに役立てていただけるようなお話ができるよう、日々を過ごして参りたいと思います。ご縁をいただけたことに感謝いたします。ありがとうございました。
セミナーの様子

<バンコク>巧緻性を通じての学びのクラス

2016年6月2日 / 未分類

5月23日(月)、25日(水)、26日(木)の3回にわたり、年長さんを中心に巧緻性を高めることを目的としたクラスをしました。顔見知りの子ども達が集まって来て、東京でも着目している食育をテーマとした制作をしたり、ペーパーをしました。新しいヤマトのりをもらった子ども達はうれしそうに制作します。円柱を使って、顔を作ったりお洋服を作ったり、キツネやタヌキなどの動物を作ったり、同じものを使いながら変化を楽しみました。
 前回の2月に比べてどの子どもにも大きな変化が見受けられました。年中さんから年長さんに進級したことや、弟や妹が生まれてお兄さんお姉さんになったことでモチベーションがぐっと上がったのだと思います。また、このクラスでの再会を楽しみに待っていてくれたことを感じましたが、だからこそのんびりしていた子は手早くできるようになり、早かった子には丁寧さが加わったのだと思います。クラスの回を重ねることで子ども達と指導する側との関係性ができ、こちらの注意を子ども達が素直に聞けるようになりました。毎回のりなどの文房具が少しずつ増えて道具が整い、子ども達の効率が上がったことも良い循環を生んでいると思います。
 25日のクラスはぐっと人数が増えました。年少さんも一人参加しましたが、早く行動でき、お話しもきちんと聞けていました。こうしたことは年齢に関係なく、お家でのしつけによって出来るものなのだと改めて思いました。
 大人数でもお兄さんお姉さん達が年下の子ども達を引っ張っていき、お手本になろうという気持ちでお稽古に取り組んでいることがわかりました。おやつの代わりに持って来てもらったお弁当を、とても楽しそうに会話をはずませながらいただいている様子からも、とても良い雰囲気でお稽古に取り組めていたと思います。

 昔話の「桃太郎」と「浦島太郎」の歌を歌ってみましたが、知らない子や知っていても歌詞があやふやで言葉の意味がわからない子がいました。歌をしっかりと歌えるようになると、お話しが言えるようになるので、ご家庭でお父様やお母様が一緒に歌い、子ども達が楽しく学べるようにしてあげてくださいね。
 5月は日本では母の日がありましたので、母の日をテーマにしながらお母様と一緒に遊べるものを作りました。お母さんの絵を描き、お母さんのお仕事やお母さんが使うものへ話を持っていきます。自分達でクイズを考えるようにして、自分が作ったものを発展させる提案をしました。
 3回のクラスを通じて、同じものを繰り返し作ることの大切さをお伝えしました。ついあれこれ手を広げてみたくなるものですが、繰り返し取り組むことで出来ることが増え、バリエーションを楽しめるようになります。この点をお母様方にご理解いただけたようで、とてもうれしく思います。
 毎回、クラスを進行させていくうえで、文具をご提供くださる企業のお力など、バンコクでの活動をお支えくださる方々に改めて感謝いたします。お絵描きが楽しい、工作が楽しい、そんなふうに子ども達がわくわくしながら学べる時間を、これからも作って行きたいと思います。
 

<バンコク>受験模試クラス

2016年6月2日 / 未分類

5月24日(火)午後/29日(日)午前、リトミックの藤城先生とご一緒に、受験模試クラスを行いました。ほんとうのお試験のように、机を一つずつ離して設置したお教室に、小学生のステップを帰国して日本で築こうとしている年長さん達が集まってきました。
タイバンコクでは、秋の受験に向けての本格的な模試クラスははじめてです。本番さながらに、きちんとした服装・ご挨拶など、試験以前の内容の、できて当たり前の事に着目します。行動観察で共同制作をしたり、絵を描いたり、リズムを身体で表現したり、巧緻性や運動の取り組みなど本番で求められる要素を2日にわけて確認しました。

初日は緊張した面持ちの子どもも、次第にリラックスして楽しそうな表情になりました。普段お家で出来ることも、正確に質問を聞くことができず苦戦する場面が目につきました。子どもにとってきちんと指示を聞くことは大人が思うよりも難しいのです。
また、日本ではなくタイという国で生活しているという、生活環境による注意点が課題になると思います。例えばタイでは日本のように外を歩く機会がないために、「通りを右に曲がる、左に曲がる」といったことがわからない子どもがいるのです。

一日目にやりきれなかった分を2日目までの宿題としました。宿題はもう一つ。初日の活動の様子や内容は、子どもからお母様へ報告することにし、お母様は子どもの報告の内容やその様子をレポートにして提出するというものです。さて2日目の朝、宿題を提出したのはひと家族だけでした。他のご家庭は持って来ていたものの、指示を待っていたということでした。

2日目は保護者向けの面接を一家庭7分でいたしました。その間、子ども達は作業です。ちょうど同じ頃、28日(土)のお稽古で年長さんが取り組んだものと同じプリントをやりました。この日も「本番さながら」をポイントに、ゴミの捨て方や体操での待ち時間の態度など、細かなことに留意しました。体操での待ち時間の態度については、初日に乱れていたことが気になりました。うまく出来ない子がいても笑ってはいけません。友達どうしの声かけなど、待っているときの態度に重点をおきました。
ここでも、海外での選択肢の多さという問題が見えます。現地校、インターナショナルスクール、日本人学校というそれぞれの環境があります。日本では似通った考え方で行動することをよしとしますが、例えば個性を重んじる教育、個人行動をよしとする考えもあるでしょう。海外生活をした上でこのようなことを理解して準備をすることが大切であると、保護者の方に感じていただけたと思います。
2日目は、道具のかたづけや、お弁当の包み方などの作業のためにお弁当を持って来ていただきましたが、お弁当の開き方、食べ方やしまい方を見ていると、前回(2月)に会ったときよりきちんとできるようになっている子がいました。きっと日頃からご家庭で気を付けて、この間過ごしてきたのだと思います。

この受験模試クラスを受講することで、勉強だけではないたくさんの準備があること、それは日本ではないタイでも十二分にできると気付いていただけたのではないでしょうか。子ども達も、何をやらなければならないかという意識を持てたと思います。そうなってくると、やらされているのとは違ってきます。出来るようになり、自信が持てるでしょう。こうした大切な変化が見受けられるクラスとなりました。
どこの国で生活していても日本人として大切なもの、躾を身につけるべきであり、それはどこの国から受験をしても学校の目をひく子どもとなります。そしてその国のことも知り、そこで過ごしたことをプラスにできると、とても魅力的な子どもになるでしょう。目先の「出来る」を目標にするのではなく、年相応の中身を持った輝ける子にしてほしいと思います。大手ではない個人の先生の視点で述べたことを受け止めていただけ、とても良かったです。受験模試クラス以外のクラスでも指導する機会がありましたが、受験模試クラスの子ども達に変化が見られました。このクラスで終わりではなく、継続することが大切ですね。

個人面談では願書の書き方や受験までの流れをご両親とお話しさせていただきました。お宅へ伺う機会があり、子ども達が喜んで迎えてくれました。そんな様子を見ていると、もっと何か、子ども達のためになることをしたいと思いました。
秋の受験までの間は藤城先生がご指導くださいます。便利な世の中ですので、東京と連絡を密に取って参ります。東京からお伝えする情報も多いですが、藤城先生という身近に的確なアドバイスをくださる方がいらっしゃるのはありがたいと感じます。先生どうし連結し、良い状態で受験に臨めるようにバックアップしていきます。

タイ・バンコクという日本を離れた場所で活動をしてみると、改めて考えさせられることが様々あります。普段お稽古をする立場としては申しあげ難いのですが、良い機会と思い敢えて言葉にしてみます。「感謝の気持ち、お礼をきちんと形にして表す」ということ、本来日本では大切にされてきた風習ですが、なおざりにされているのが現状です。例えば、何かのレッスン料をお支払いするとき、本来は感謝の意味を込めて「新券」でお支払いするものですが、「わかってはいるものの、つい手持ちがなくて・・・」というケースも含め、徹底されていないことが多々あるのではないでしょうか。しかし、親が知らない、しない、では子どもには伝わりません。子ども達が成長していったときに、立派な日本人として身につけているべきことを、親が伝えられないのでは何とも残念なことではないでしょうか。
どこの国で生活をしていても、日本さながらの風習を大切にすることはおかしいことではありません。実際に、今回バンコクで「感謝の気持ちをしっかりと表現する」ことを徹底されている場面を目の当たりにしました。もしかすると日本を離れて暮らすほうが、日本のことを改めて考え、日本人としての意識を高く持つということがあるのかもしれません。
小学校受験ということを親子で目指すとき、試験以前に準備することが様々あると前述しましたが、日本人としての風習を正しく身につけ、子ども達に伝えていけるように日々暮らしていく大切さを、重ねて申しあげたいと思います。

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