<こひつじかい> 七草がゆ作り・子ども流鏑馬

2017年1月13日

鎌倉での初詣遠足を済ませ小寒を過ぎた七草の日、1月7日に緑ヶ丘文化館の調理室で七草がゆ作りを行いました。この日は「人日の節句」という五節句のひとつでもある1年の節目の日です。開催時間が近づくにつれて、子ども達が集まり、ご挨拶やお話をする元気な声が文化館に響き渡ります。

まず班に分かれて席に座ると、春の七草と七草がゆ作りに使う土鍋が子ども達の目の前に置かれました。七草を初めて見る子もいます。皆耳をそばだてて、先生から七草についてのお話を伺い、それぞれが見分けの難しい七草を実際に手で触れながらしっかりと観察し、スケッチをしました。

次は、目を凝らして観察したその七草を、自分達の手で調理します。ここからは新一年生が頼りになる場面です。彼らは年少・年中さんの横に立ち「手を猫の手にしてね」「包丁を人に向けてはだめだよ」などと大切な注意をしながら一緒になって七草を刻みます。今までは注意をされていた彼らが、自分達よりも小さな子達の横に立ち、注意をしている、新一年生が頼りになることに加えて彼らの成長を感じる場面でもありました。

みんなで力を合わせて刻んだ七草は、一人ずつ自分の手で、磯邊先生がご自宅から持ってこられたおかゆが入った土鍋の中に入れました。先生は鍋奉行として土鍋の前に立っています。一煮立ちするまで子ども達は、里紗先生と、普段お稽古で行なっている手の体操やお話をしながら、辛抱強く待ちました。

そしてついにみんなで作った七草がゆが出来上がりました。磯邊先生が一つずつよそったお椀が子ども達の前に運ばれます。そして食べ始めると、やはり自分達で作った七草がゆのため、土鍋の前には我先にと途切れることのないおかわりの列ができあがりました。土鍋の横には、磯邊家自家製の梅干しや、先生が用意された京都のお店の塩昆布が、薬味として置いてありました。2杯目からは薬味を入れて食べる通な子どもが多く、その薬味はあっと言う間になくなり、子ども達は七草がゆを全て平らげました。食べ終わると「ぼくは4杯食べたよ!」といった自慢合戦が始まり、「えーもうないのー」と言って詰め寄ってくる子もいました。

七草がゆを食べ終わるとデザートタイムです。今日のデザートはちょっと特別感のある豪華絢爛なものです。金粉が表面に乗せられていて、酉年にちなみ鶏が型どられています。お正月らしい、1年の節目にふさわしいカステラでした。人によって今日のカステラの食べ方は様々で、金粉を最後まで残して食べる子どもや、先に金粉だけを剥がして食べるという、なんとも一風変わった食べ方をしている子どももいました。たい焼きを頭から食べるか尻尾から食べるかということと同じように、それぞれの性格が垣間見える場面でもありました。ちなみにこの金粉、昔のヨーロッパでは薬用として使われていました。でも実際には金といっても栄養価はなく、そのまま体外に出てしまうそうです。

デザートを終えると、いつもお世話になっている緑文化会館とはお別れです。
次はこの日の2つ目のメインイベントである子供流鏑馬に参加するため、御父兄の皆様のお車をお借りし、六郷神社に向かいました。皆様ご協力有難うございました。青森には「桜流鏑馬」という女性限定の流鏑馬があるそうですが、通常、流鏑馬に女性は参加することが出来ないため、女の子達は子供流鏑馬の様子をスケッチしたり、晴天に恵まれたこともあり、午前中は室内で持て余し気味だったパワーを発散すべく、境内を元気よく駆け回っていました。

その頃、男の子達は子供流鏑馬に挑むべく、お父様お母様と一緒に衣替えを控え室で行なっていました。控え室では、普段は磯邊先生からお叱りを受けている子ども達がお父様お母様に叱られている姿を見て、少し新鮮に感じ、子ども達の普段見れない家での生活が垣間見れた気がします。着替えが終わると、子ども達はこれまた普段とは違った勇ましい姿に変わっており、刀を構える子どももいて、射手になりきっていました。ご父兄の皆様も子ども達の新鮮なその姿に笑みが溢れていました。あるお母様が「昔の将軍もこんな感じだったのでしょうね」と仰っているのを伺い、子ども達の将軍姿を想像してしまい、こちらも思わず笑みがこぼれてしまいました。
さあ、いざ出陣です。小さな武士達は木馬に跨り、目の前の的に向かって颯爽と馬を走らせます。的の前に陣取ると、横にいる大人の武士と協力して弦を引き、力強く弓を射ります。「パァン!」という音とともに子ども達の顔から笑みがこぼれます。緊張からか、はじめは小さな武士達の表情は硬かったのですが、退陣の際には、達成感のある満足気な表情をギャラリーに披露していました。

この日2つ目のメインイベントを終え、男の子は武士からいつもの姿に衣替えをし、普段のお稽古場と同じく女の子と男の子でみかんを1箱空にしました。最後に男の子から女の子へ破魔矢のサプライズプレゼントがあり、流鏑馬に参加できなかったくノ一達も、的を射ることができた武士達も、人を大切にする節句の日である「人日」の節句を笑顔で過ごすことができました。

昔から行われてきた伝統行事を日本人として継承していくことが、ともすると困難な時代になってきているように思います。しかしそこには私達日本人が学ぶべき知恵や親しむべき文化があるのではないでしょうか。この一年も、子ども達と一緒に、四季折々の日本の伝統的な行事を大切にし、生活の豊かさや楽しさを探求してまいりたいと思います。

磯邊季里 @ 2017年01月13日 14:58 コメント: (0)

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