<感想画コンクール>平和祈念式典にご招待いただきました。~前編~

2018年8月15日

「夾竹桃物語~わすれていてごめんね」 感想画コンクール

もしタイムマシーンに乗って1945年8月5日に戻れるならあなたは広島の方々にどんな声をかけますか?
「早く逃げて」
「数時間後に爆弾が空から落ちてくるから出来るだけ遠くに行って」
信じてもらえないでしょう。
誰もが想像をしなかった広島への原爆投下。
生まれたばかりの小さな赤ちゃんを抱えたお母さんも。
毎日必死で仕事をするお父さんも。
外を元気に遊びまわる無邪気な子ども達も。
声を上げることが出来ない草木や動物たちも。
みんなみんな一瞬にして炎の海に包まれ息絶えてしまうことを。
たった73年前の出来事。唯一の被爆国、日本に住み、三児の母となり、娘を通して平和祈念式典への参加の機会をいただいた今、娘に伝えたいことを書いてみようと思います。

こひつじかいの子ども達が大好きな、バンコク在住の画家・阿部恭子先生が広島の原爆投下に関しての絵本「夾竹桃物語~わすれていてごめんね~」の紙芝居を描かれたことをきっかけに、こひつじかいでも紙芝居を子ども達と一緒に読み、感じたことを絵で表現しました。(6月6日 「バンコク滞在レポート」を合わせてご覧ください) 

当たり前にご飯を食べたり、何の心配もなく学校に通ったり、新しい洋服を買ったりすることができる。
私も含め「戦争」を全く知らない時代の日本で育った子ども達に自分がどんなに恵まれた環境で過ごしているかを知る良いきっかけとなってほしいと願い、そして何よりも大好きな恭子先生の紙芝居に触れてほしいと真剣に取り組ませて頂きました。
長女は恭子先生の描かれた紙芝居をよんで涙をながし、
「どうして国と国が喧嘩しちゃったの?」
「どうして草木や動物が忘れられてしまったの?」
「どうして爆弾が落ちたの?」
「広島ってどこ?」
とたくさんのWhy?を投げかけてくれました。

恭子先生は、平和公園を全て一人でまわられて、スケッチをされたそうです。斬新で大人の心にも残る素敵な紙芝居です。

娘は、「真ん中にあるブナの木は生きていて顔があり、たくさんの緑と鳥たちが周りを囲んでいるところ」を描いたそうです。

感想画コンクールに応募して数日後、長女の絵が受賞したとのご連絡があり、
受賞者は8月5日~6日にかけて広島への一泊の旅と平和祈念式典への参加、感想絵画コンクールの授賞式へご招待いただきました。
日本人として知っておくべきことを知る上で、本当に貴重な経験の機会をいただいたので、すぐに参加を決めました。
そして、待ちに待った8月5日、わくわくドキドキしながらの出発です。

広島行きの朝一番の飛行機にのり、到着した我々がホテルに荷物を置き、まず最初に向かった先は原爆資料館です。
うだるような暑さの中、橋を渡り、平和記念公園へとむかう道中長女は「暑い、暑い、暑すぎて溶ける!!」と叫んでいました。
確かに広島は東京より暑いです。でもそれも他県を知る良い経験です。一生懸命歩きました。
歩く過程で、平和記念公園の慰霊に手を合わせている方々の姿を見るうちに自然と口数が少なくなりました。
何かを察し、ただ事ではないことが起こったのではという空気を読み取ったのでしょう、
原爆資料館に入館するころにはすっかり心静かになっておりました。

中に入ると原爆が投下される前の街並みと原爆が投下された後の街並みが壁一面に張りめぐらされており、その残酷さを物語っておりました。

さらに奥に進み、原爆資料館の中で真っ黒焦げになった火傷を負っている人々の姿や焼け焦げて血がこびり付いた被爆者の洋服、錆びた三輪車などを見て、
「なんでこんなことになったの?」
「なんで国と国が喧嘩しただけで爆弾が空から落ちてくるの?」
と理解しようにも理解ができない長女の姿がありました。
でもそれで良かったのかなと思います。
本物の資料を目の前に、過去にあった出来事をしっかり見て、もう二度と核戦争が起きてはいけないと心で感じられました。
その気持ちを忘れないために私たち親子に今できることは、「日々の生活態度を見直すこと」なのではと考えました。
物を大切にする。人の心を大切にする。毎日の積み重ねを大切にする。
親としては便利なものばかりに頼らないで、子どもと一緒になって考える、創る、走る、遊ぶ。。。
これらのことは先代の知恵、過去があるから出来ることなのだと、親としての生活態度もまた見直そうと深く深く反省しました。
長女の口からは自然と、
「帰ったら妹たちに優しくするからもうこんなことが起きないようにお祈りしよう」
という言葉が涙とともにこぼれました。
原爆資料館からの帰り道ももちろん暑かったのですが、心に刻まれたものがあるのでしょう。長女は文句ひとつ言わず汗だくになりながらも一生懸命歩いて帰りました。

日付が変わって6日の朝、長女は朝早く飛び起き、カーテンを開けると「今日は恭子先生に会える日だよね!!!」と嬉しそうです。
5時半から朝食をとり、感想画コンクール受賞者の集合場所へと向かいました。
1番に集合場所へ着くと、バンコクの真由美先生がいらっしゃり、広島出身者として広島のことをたくさん教えてくださりました。
こひつじかいの教えでもある早く支度をすることを心がけると、その分できた余裕の時間に、たくさん知識や情報を得られるということをここでも体験できました。
机上の勉強ではない生活の知恵。たくさんの学びとともに成長してほしいです。

全員が集合し、いざ出発です!!
平和記念公園への道のりは昨日のようにとても暑かったのですが、昨日のこともあり、長女ともう一人の受賞者M君は弱音一つはきません。
道中、二人ともたくさんの興味を持って質問やお話をしてくれました。
「この川でお魚はどうなってしまっていたの?」
「夾竹桃発見!!ピンクだけではなく、白もあるんだね!!お花が咲くようになって良かったね。。。。。」
「原爆によって皮膚が焼けてしまった方々はお水がほしかったんだろうね。私たちがおいしくて冷たいお水を届けてあげたかったな~」
などなどたくさんの話をしながら現地に到着。

祈念式典では、原爆が投下された午前8時15分に全員で黙とう。1分間を遺族の方々に捧げました。
安倍内閣総理大臣、広島県知事、国際連合事務総長からのあいさつがあり、ひろしま平和の歌を全員で合唱。閉会しました。
この式典は8時から始まり、8時50分ちょうどに終わります。
このたった50分の間に空から爆弾が落ちてきて、一瞬で命を奪われてしまった遺族の方々の苦しみを考えると参加されていたM君のご両親含め、全員で涙を流さずにはいられませんでした。
本当に貴重で心動かされる経験をさせてくださったタイの恭子先生をはじめ、サポートを頂いた先生方に厚く御礼を申し上げます。
今後も子ども達の笑顔が絶えない世界が続くよう祈るばかりです。

磯邊季里 @ 2018年08月15日 10:11 コメント: (0)

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