<子育てセミナー> 本当の知力を身につけさせる方法

2017年9月8日

子育てで大切なこととは?~気づきと学びの子育て法~    
      グローバル時代に羽ばたく子ども達のために、いますべきこと

 9月4日(月)に玉川テラスで子育てセミナーを行いました。お集まりくださったのは小さなお子様をお連れのお母様や、小学校受験を間近に控えた年長さんのお母様方で、顔なじみの方もはじめましての方もいらっしゃいました。9月の初旬にしては冷たい雨の降る朝に、屋上庭園の緑がしっとりと映えるなかで会した一同には、大切な我が子をより良く導きたい、そんな思いが共通していたのではないでしょうか。

 大人でいることと親であることは同じではありませんね。このことは当たり前のようでいて、実際に親として子育てをしているとうっかり忘れてしまうことがあるものです。玉川テラスでの子育てセミナーのタイトルに「気づきと学びの子育て法」と付けた意味がここにあります。お仕事をなさっている方も、2人3人と子育て経験のある方も、その子どもにとってはただ一人の母親で、どの子も一人として同じ子どもはいないのですから。子どもは一人一人が天才とも言えるほどの資質を持って生まれてくるのに、親の方がなかなかそう思えず子どもの芽を摘んでしまわないようにと願います。子どもの特性を素直に伸ばすことが子育ての一つの答え、そう言えるのではないでしょうか。こういったことを踏まえて、本題に入る前に是非提案したいことは、お母様自身が上手に毎日の時間を使えるようになるためにTO DO LIST を作ることです。
 誰にでも等しく流れる時間を、伸縮自在の連続体と捉えることができます。自分の意思で短くも長くもできるのです。効率を上げて時間を捻出すれば、それをリラックスタイムにできますし、子どもとの時間に余裕ができれば、親子で良い時間を過ごせるでしょう。そしてさらに、お母様がこうして毎日を過ごす習慣を子ども達に示せば、子どもも自分で時間の使い方を考えられるようになるでしょう。小学生になれば持ち物や予定などを自分で管理でき、自立へとつながっていくのです。
 また、やることをリストにして書くと同時に、子育て中に感じたこと、なんとなく思ったことなどを、自分の言葉、自分の字で、書き残してみることも大切です。短いメモ書きであったとしても、そのときの想いが映った字を振り返った時に、かけがえのない子育ての記録になるのですから。
 書くことで整理された頭の中や時間があれば、子どもに今必要なひと手間をかけた子育てができる。やってみない手はありません。

 さて、今回のテーマである”子どもを世界で活躍できるグローバル人材に育てる”、なんだかすごいことのようです。このテーマをきいてどんなスキルが必要だと思いますか?英語を代表とする外国語ができること?確かに、語学力は重要なスキルです。しかし果たしてそれだけでしょうか?今回は小学校入学前の6歳までの子育てを中心にお話をしますが、
特に3歳までは日本語をしっかりと教え、日本人としてのアイデンティティを確立することがとても大事です。言葉という道具を使って何を伝えるのか、何をどのように考えるのかが肝心で、そして人として大切なことを身につけていることが大切なのではないでしょうか。将来グローバルに活躍するために今必要なのは、結局は様々な種を芽吹かせ、しっかりと根を張り成長させられるような、上質な土壌を作ることだと言えるのではないでしょうか。
 可能性とも言える種を蒔く、それも小さな子どもに対して親ができることです。しかし蒔くタイミングや量を間違えてしまっては芽吹くことはできません。今の時代には情報が溢れんばかりにあるので、ついあれもこれもとつまみ食いのように子育てに取り入れてみたくなるリスクがあります。いつもお話ししているのですが、昔ながらの子育てを丁寧に、十分に繰り返しながら進めていく、これが一番です。そのときに欠かせないのは家庭のあたたかさ、特にお母様とのぬくもりのなかに子どもがいることです。まだ生まれてから数年しか経っていない子ども達、できないことのほとんどは知らないことに因ります。かと言って、上から目線で教えるというのではなく、子どもの気持ちやペースを考えながら共に歩む、そんな意識が大切です。繰り返しのなかの変化から子どもは学び、お母様方からの声かけに自信をつける。優等生にしようとせずに、子どもの得意なことを見つけてあげましょう。お母様には子どもの一番そばで、刻々と変化し成長していく子どもの姿を見守っていてほしいと思います。6歳までの親子の時間は宝の時間、本当にそう思います。
 昔ながらの丁寧な子育て、という点に付け加えるとすれば、安易な方法に走ってはいけない、ということがあります。例えば、いまは便利に何でも検索できるので、はじめて行く場所があったときにそれほど下準備をする必要がありませんし、携帯電話に番号を登録したり固定電話の短縮機能を使うことで電話番号を覚える必要がありません。けれどもいざというときに、地理感覚が全くなかったり、電話番号がわからなければ用をなしません。親の方がこの様では、子ども達に道順の説明や電話のかけ方などを教えることができるでしょうか?そしてこれは道順や電話の話だけではなく、あらゆる場面で同じようなことが生じるでしょう。
 普段はつい目先のことにばかりとらわれて、10年後20年後の子どもの姿を考えられない、これも子育ての落とし穴の一つです。そんな時には「子育て」ではなく「子教え」になってしまっているように思います。時にはお母様自身の思い出、失敗談なども交えながら、子どもの気持ちを窮屈にしないように話していってほしいと思います。親が何でも先回りをして手を出してしまう。良かれと思ってのことでも、子どもが失敗から学ぶ機会を奪い、指示待ち体質で依存する子どもになってしまうことに繋がります。待ってあげる。シンプルなようで、意外と難しいことかもしれませんが、とても大切です。
 子どもが話したがっているときに「ちょっと待ってね」と遮ることはありませんか?できるだけたくさん、話し相手になってあげてください。すぐにお母様の意見を言うのではなく「そうなのね」「そう思ったのね」と、まずは子どもの気持ちを受け止めることが大切です。また、小学生になった子どもでも親に甘えたい気持ちはたくさん持っているもの。そのサインを見逃さず、どんと胸を貸してあげてください。ほっとできる場所があってこそ、子どもは落ち着いて考えることができるのですから。
 子どもの成長には子ども同士の関わりもとても大切です。子ども達の中にいるときに、子どもの新しい学びが始まるのです。普段のお稽古に縄跳びを取り入れています。年少さんから小学生までが一緒に跳びます。大人の手助けの余地のない縄跳びという運動は、子どものやる気や自立を育むことに役立ちますが、様々な年齢の子ども達が一緒にすることでその効果はより高まっていて、努力の大切さを子どもが小さな頃から学ぶ機会にもなっているのです。数百、数千回という単位で跳び続けることができるようになった子ども達。あのお兄さんやお姉さんのようになりたいという目標や、自分もやっているからこそ、頑張って成果を出した仲間に心から拍手を贈る気持ちが生まれます。ただ黙々と、大人だって跳べないような回数を跳ぶ子ども達。すごいね、目標が達成できて良かったねと、心から言えますね。そんなときの子ども達の表情を見ることはとても幸せです。
  世に出てから不可欠な精神的な逞しさは、家庭のぬくもりによって育まれるものです。愛され、受け入れられ、認められた記憶で満たされた心ならば、自信をもって前に進んだり、愛を人に注ぐことができるでしょう。未知の世界への好奇心、困難にぶつかった時に自分で考える力、諦めずにやり遂げようという気力や体力。つまり、真に豊かで幸せな人生に繋がる要素は、子どもの頃に育まれた豊かな土壌によって芽吹き根を張るのです。

 セミナーでは受講後にアンケートを書いていただいています。今回のお話が子育てのどんなテーマにも通じるものであったこと、上から目線の「子教え」ではなく「子育て」をしよう、といった感想が寄せられ、お伝えしたかったことをしっかりと受け止めてくださったと感じました。セミナーの途中、お母様と一緒に参加した小さな子ども達が、大人は何も言わないのに自然とコミュニケーションをとっているという一幕がありました。子どもは自ら子どもどうし関わろうとし、その中で自然に成長する力を持っているのだと改めて思わされました。

 これからも肩の力を抜いて聞いて頂けるお話し、ほっと一息をついて日々の子育てを振り返られるような機会を設けたて参りたいと思います。

磯邊季里 @ 2017年09月08日 12:02 コメント: (0)

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