<バンコク> 幼稚園でのお話

2017年6月5日 / 未分類

5月のバンコク滞在中に、幼稚園でお母様方へ向けてお話しをする機会をいただきました。年少より小さな子ども達のクラスから年長クラスまで、一学年ひとクラスの計4クラス、100人を超えるお母様方にお目にかかったことになります。
 バンコクに住んでいる年数や今後の帰国予定など、ご家族によって様々な事情のなかで子育てをしていると、海外の中では日本人にとって便利と言われるバンコクであっても、どうしてもいつも何か不安で落ち着かない、そんな環境の難しさがあると感じました。
 今はインターネットから実に様々な情報を得ることができますが、ご家庭ごとに何が適切かを判断する難しさがあります。海外ならではの不安や情報を選択する難しさを解消するために、子育てでいつの時代も変わらない大切なこと、今の時代だから意識すべきことの両面をお話しさせていただく意味があると思いました。そして特に、今バンコクに住んでいるからこそ大事にしていただきたいこと、全てが日本と同じようにいかない不便さを否定的にではなく良い方向へ考えるべきだということを強調したいと思います。

 バンコクには実に多様な幼稚園がありますが、子ども達のためにどんな環境を選ぶにせよ「やがて日本へ帰る日本人として、子ども達が戸惑わないようにする」、このことを常に念頭においてほしいと思います。日本の食文化や日本人としてのマナーなど、それぞれのご家庭での躾を怠らないでください。どこにいても日本人として大切なことを流されずに生活する、その経験はご家族にとっての宝物になるのです。

 バンコク滞在中に、街中で何人ものお母様方にお声をかけていただきました。大変申し訳ないことにとっさに何方かわからずにいると、幼稚園で私のお話を聴いてくださった方々でした。それぞれのクラスのお母様方、100名を超える方々と出会い、おひとりおひとりのお顔とお名前を覚えることができなかったのですが、でもお母様方は私のことを覚えてくださり、お声をかけてくださったのです。幼稚園でのお話の感想をきかせてくださったり、あたたかいメッセージをいただく思わぬ機会となりました。インターネットは便利ですが、やはり人と人とのつながりは実際にお会いしかたらこそ残る、そんなことを改めて実感いたしました。また次回もバンコクで子育てに奮闘されるたくさんのお母様方にお目にかかり、子育てが楽しくなるお手伝いをしたいと強く思いました。

<バンコク> 個別レッスン

2017年6月5日 / 未分類

5月のバンコク滞在中に2歳児の個別レッスンをしました。限られた機会ではありましたが、3日にわたってお稽古をすることができ、この時期の子どもの成長を改めて感じました。
 このお稽古のテーマも、今回バンコクで行った他のお稽古と同じように「桃太郎」です。パターンブロックと指示行動を合わせて桃太郎の世界を楽しみますが、まずは導入として身近なお花をパターンブロックで作ってみました。ブロックを並べたり積んだり、手触りの良いカラフルなブロックで遊んでいる感覚で、小さな子ども達の気持ちが高まりました。
 桃太郎の登場人物の絵に色を塗り、パターンブロックを置いたり、折り紙で登場人物を折り、のりやテープで貼って工作に展開させたりしました。ペットボトルを使えば輪投げに発展し、トイレットペーパーの芯を使えばお人形ができました。このように身近なものを使っていろいろなものを作り、遊びを広げていくことがとても大切です。2歳児には折り紙は難しいですが、軽く折り目をつけたところを指でなぞるなど、できること、そして「自分で作った!」という気持ちにつながることは色々あるものです。

 タイでは大人が手厚く子どもを補い、手助けをする文化があることを、しっかりと意識しなければなりません。幼稚園での工作でも、のりの蓋の開け閉めをアシスタントの大人がやってくれたり、ハサミで切ることも途中まで大人がやってくれたりと、子どもが自分一人で完成させたという達成感や充実感が得られないのです。小さな子どもには大きなハサミを使うことはできませんが、幼児用ではなくごく普通のハサミを持たせ、何が危なくてどのように注意して使うのかを教え、切れ味の楽しさを教えてあげてほしいと思います。
 塗り絵や折り紙で桃太郎のお話を楽しんでいる中で、言葉を意識した時間を持ちました。例えば犬ですが、幼児は「わんわん」と言うことがありますね。しかしこれは犬の鳴き声で、日本語では「犬」と言います。せっかく海外に住んでいるので、タイ語では「マー」と言うこと、英語では「dog」と言うことも教えました。まだ2歳だからと制限をせず、いろいろな国の言葉を伝えてあげても良いと思うのです。
 言葉の学習としては、食器を使った時間も設けました。敢てプラスティックではなく陶器やガラスの食器を使い、気を付けて扱うことも教えながら、グラスやカップなど、食器それぞれの名前と用途を覚えるようにしました。素材によって打音が異なるので、音遊びを取り入れることもできました。このように、楽しみながら生活に使う色々なものを教えてあげてほしいと思います。

 女児の参加だったということもあり、少し桃太郎を離れてこの年齢の女の子が大好きなバッグを作ってみました。ピンク色の折り紙でハートを作り葉を用意すると、何だか桃のよう。簡単に作ったバッグでもこのような飾りをつけてあげるととてもうれしい気持ちになりました。
 前回の2月から約3か月ぶりにお稽古をしてみると、子どもの成長にはっとさせられます。好奇心が芽生え、1時間半のお稽古に泣くことなく集中して取り組むことができました。お稽古中に自分で作った作品を、お迎えにみえたお母様に見せるときの笑顔は「自分でできた!」という嬉しい気持ちで生き生きとしていました。
 3日にわたって行ったお稽古でしたが、2日目も3日目も、初日にやったことの復習を丁寧に行いながら少しずつ進めていきました。少人数のクラスや個別のクラスでは、その子どもに合った進め方ができるという大きな利点があります。まだ勉強ではなく遊びのなかで、自分でできたうれしさ、達成感をたくさん感じさせてあげてほしいと思います。「まだ2歳だから」という大人の思い込みは忘れましょう。様々な刺激が子どもの可能性を引き出す契機になり得るのですから。

帰った後も興奮状態でお昼寝もせず、ずっと遊んでいます。知的好奇心を刺激されたと同時に元気のツボまで押してもらったかのようです。
このまま早めに夕飯を食べさせて、早めに寝かせようと思います、とのこと。
無限の可能性を秘めた小さい子のパワーには驚かされることばかりです。

お稽古が進むにつれて子ども達の笑顔がどんどん弾けていく様子。これを思い出しながら、また次回のお稽古の準備をして参りたいと思っています。

<こひつじかい>お茶摘み遠足

2017年5月18日 / 未分類

土曜日はあいにくの雨天となり、日曜日に延期された今回のお茶摘み遠足。早朝、多くの子ども達が元気良く田園調布駅前に集合します。出発の時間となり、今日初めて遠足に参加する子どももいるなか、今回はお母さんお父さんへの 行ってきますと手を振りながら、改札口を列をなして過ぎてゆきました。 乗り継ぎ間の距離も遠く回数も多かった今回の電車旅ですが、ペアで手と手をしっかりと繋いで、せっせと東横線から南武線、小田急線へと乗り換えることができました。車中では、色々な手遊びを楽しんで秦野駅まで向かいました。秦野駅に着くと、今度はバスに乗り換えて茶畑の近くへと向かいます。

バスを降りると、毎年恒例の茶畑までの新緑の風を感じながらの山登りが始まり、自然浴を子ども達は、身体で覚えてくれたと思います。「風がいいにおい!」「葉っぱのにおいがするよ!」など表現豊かな言葉が飛び出し、驚かされました。一人一人が力を振り絞って汗をかきながら楽しんでいました。根気よく山道を走っていると先頭のグループは20分ほどで、ようやく今回お世話になる”わさびや茶園”に到着しました。到着するとすぐに茶畑が一面に望め、より茶葉の香りをしっかりと感じることができます。

早く着いた子は、茶摘み娘の正装である”茜襷と菅の笠”作りをしながら、後続組の到着を待ちます。山間部を流れる風で笠が飛ばされそうになりながらも、全員が 山中での工作を上手に作ることができました。早速自分たちで作った衣装を身につけ、 一面が新緑でいっぱいの茶畑の中に子ども達がどんどんと入ってゆきます。毎年お世話になっている松本さんに茶摘みの基本である”一芯三葉”の説明を受けると、子ども達は目線を一点に集中しながら”一芯三葉”の言葉を頼りに、芯から3枚目の葉っぱまでをリズムよく摘み取ります。しばらく摘み取っていると茶葉をちょっと食べてみようという提案があり、茶畑でしかできない試食会が始まりました。子ども達からは『にがーい』という声が 多くあがっていました。

茶摘みには一芯二葉、 四葉、五葉と様々な摘み方があり、それぞれ味わいや成分が異なるようで、今回は流通しているほとんどの手摘みの茶葉と同じ摘み方である”一芯三葉”で茶摘みを行いました。現在は機械で摘むことが主流となっているそうですが、機械では余分な葉も一緒に摘み取ってしまうため、やはり手摘みが一番良いとのことでした。それぞれのチームのカゴが茶葉でいっぱいになったところで終了の合図となり、摘んだ茶葉を大切そうに持ちながら丘を登り、イメージが強く記憶されているうちに、 茶畑を望みながらその様子を思い思いに描きます。

山々に囲まれた茶畑のため、しおりは自然と新緑いっぱいの鮮やかな絵に仕上がりました。絵を描き終えると次に、実際に自分たちの摘んだ茶葉はどのようにして生まれ変わるのかを学ぶため、工場見学が始まります。工場内に入るとまず、お茶の葉の香りと湿気や熱、機械音などを五感で感じることができます。足を進めるたびに徐々に変わっていく茶葉の姿に子ども達も思わず『すごい!』などと目の前を流れてゆく茶葉に真剣な眼差しを向けながら、それぞれの工程に驚嘆している様子でした。お茶摘みと工場見学を終え茶葉の収穫から加工まで学び終えると、昼食の時間がやってきます。

今回 は、お母様が作ってくださったおかずに加え、茶葉の天ぷら、バジルの代わりに茶葉をのせたマルチャリータと丹沢の清流が運ぶ、流しそうめんをいただきます。揚げたての茶葉の天ぷらが運ばれてくると、子ども達はその天ぷらの周りを囲み、すぐにお弁当のおかずとして加えていました。天つゆなどにつけずに、そのままの味わいの方が茶葉の風味を感じられ、熱を加えたことにより茶畑で感じた苦味もなく、大喜びで美味しく頂きました。

次に子ども達は茶畑の端を流れる小川へ降ります。わさび作りに利用される綺麗な水に足を冷やしながら、全くの自然の中で竹の上を流れてくるそうめんを、小さい子も懸命になって自分のお箸で掴むと、満足そうに口に運びます。全員がお腹いっぱいに茶葉の天ぷらやピザ、そうめんを食べたところで、とうとう茶畑を出発する時間になりました。

着替えと身支度をすませ、行きに駆け上がってきた自然豊かな山道を今度は駆け降りてゆきます。下り坂は楽々と思いきや、勝手にあがるスピードをコントロールして足を進めるのは結構大変です。全員必死の表情で、バス停を目指します。その頑張りから例年よりも早いスピードでバス停に到着しました。何よりも、くたくたのはずの帰りの電車は、笑顔が弾けていました。本当に子ども達から素敵なプレゼントをもらった瞬間でした。田園調布駅での解散も、磯邊先生にお褒めの言葉を頂いたからか、こころなしかいつもより元気良くさようならの挨拶をできているように感じました。どんなに小さくても、自分 で存分に頑張る力を子ども達は持っています。自分で考えて行動できるたくましさを、私たち大人は周りから気付かれないように後押しをする、風のような存在でいたらと感じる一日でした。守って育てることももちろん大切ですが、地に足をつけ、歩んでいけるができるよう、応援してあげたいです。

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