<バンコク>受験模試クラス

2016年6月2日

5月24日(火)午後/29日(日)午前、リトミックの藤城先生とご一緒に、受験模試クラスを行いました。ほんとうのお試験のように、机を一つずつ離して設置したお教室に、小学生のステップを帰国して日本で築こうとしている年長さん達が集まってきました。
タイバンコクでは、秋の受験に向けての本格的な模試クラスははじめてです。本番さながらに、きちんとした服装・ご挨拶など、試験以前の内容の、できて当たり前の事に着目します。行動観察で共同制作をしたり、絵を描いたり、リズムを身体で表現したり、巧緻性や運動の取り組みなど本番で求められる要素を2日にわけて確認しました。

初日は緊張した面持ちの子どもも、次第にリラックスして楽しそうな表情になりました。普段お家で出来ることも、正確に質問を聞くことができず苦戦する場面が目につきました。子どもにとってきちんと指示を聞くことは大人が思うよりも難しいのです。
また、日本ではなくタイという国で生活しているという、生活環境による注意点が課題になると思います。例えばタイでは日本のように外を歩く機会がないために、「通りを右に曲がる、左に曲がる」といったことがわからない子どもがいるのです。

一日目にやりきれなかった分を2日目までの宿題としました。宿題はもう一つ。初日の活動の様子や内容は、子どもからお母様へ報告することにし、お母様は子どもの報告の内容やその様子をレポートにして提出するというものです。さて2日目の朝、宿題を提出したのはひと家族だけでした。他のご家庭は持って来ていたものの、指示を待っていたということでした。

2日目は保護者向けの面接を一家庭7分でいたしました。その間、子ども達は作業です。ちょうど同じ頃、28日(土)のお稽古で年長さんが取り組んだものと同じプリントをやりました。この日も「本番さながら」をポイントに、ゴミの捨て方や体操での待ち時間の態度など、細かなことに留意しました。体操での待ち時間の態度については、初日に乱れていたことが気になりました。うまく出来ない子がいても笑ってはいけません。友達どうしの声かけなど、待っているときの態度に重点をおきました。
ここでも、海外での選択肢の多さという問題が見えます。現地校、インターナショナルスクール、日本人学校というそれぞれの環境があります。日本では似通った考え方で行動することをよしとしますが、例えば個性を重んじる教育、個人行動をよしとする考えもあるでしょう。海外生活をした上でこのようなことを理解して準備をすることが大切であると、保護者の方に感じていただけたと思います。
2日目は、道具のかたづけや、お弁当の包み方などの作業のためにお弁当を持って来ていただきましたが、お弁当の開き方、食べ方やしまい方を見ていると、前回(2月)に会ったときよりきちんとできるようになっている子がいました。きっと日頃からご家庭で気を付けて、この間過ごしてきたのだと思います。

この受験模試クラスを受講することで、勉強だけではないたくさんの準備があること、それは日本ではないタイでも十二分にできると気付いていただけたのではないでしょうか。子ども達も、何をやらなければならないかという意識を持てたと思います。そうなってくると、やらされているのとは違ってきます。出来るようになり、自信が持てるでしょう。こうした大切な変化が見受けられるクラスとなりました。
どこの国で生活していても日本人として大切なもの、躾を身につけるべきであり、それはどこの国から受験をしても学校の目をひく子どもとなります。そしてその国のことも知り、そこで過ごしたことをプラスにできると、とても魅力的な子どもになるでしょう。目先の「出来る」を目標にするのではなく、年相応の中身を持った輝ける子にしてほしいと思います。大手ではない個人の先生の視点で述べたことを受け止めていただけ、とても良かったです。受験模試クラス以外のクラスでも指導する機会がありましたが、受験模試クラスの子ども達に変化が見られました。このクラスで終わりではなく、継続することが大切ですね。

個人面談では願書の書き方や受験までの流れをご両親とお話しさせていただきました。お宅へ伺う機会があり、子ども達が喜んで迎えてくれました。そんな様子を見ていると、もっと何か、子ども達のためになることをしたいと思いました。
秋の受験までの間は藤城先生がご指導くださいます。便利な世の中ですので、東京と連絡を密に取って参ります。東京からお伝えする情報も多いですが、藤城先生という身近に的確なアドバイスをくださる方がいらっしゃるのはありがたいと感じます。先生どうし連結し、良い状態で受験に臨めるようにバックアップしていきます。

タイ・バンコクという日本を離れた場所で活動をしてみると、改めて考えさせられることが様々あります。普段お稽古をする立場としては申しあげ難いのですが、良い機会と思い敢えて言葉にしてみます。「感謝の気持ち、お礼をきちんと形にして表す」ということ、本来日本では大切にされてきた風習ですが、なおざりにされているのが現状です。例えば、何かのレッスン料をお支払いするとき、本来は感謝の意味を込めて「新券」でお支払いするものですが、「わかってはいるものの、つい手持ちがなくて・・・」というケースも含め、徹底されていないことが多々あるのではないでしょうか。しかし、親が知らない、しない、では子どもには伝わりません。子ども達が成長していったときに、立派な日本人として身につけているべきことを、親が伝えられないのでは何とも残念なことではないでしょうか。
どこの国で生活をしていても、日本さながらの風習を大切にすることはおかしいことではありません。実際に、今回バンコクで「感謝の気持ちをしっかりと表現する」ことを徹底されている場面を目の当たりにしました。もしかすると日本を離れて暮らすほうが、日本のことを改めて考え、日本人としての意識を高く持つということがあるのかもしれません。
小学校受験ということを親子で目指すとき、試験以前に準備することが様々あると前述しましたが、日本人としての風習を正しく身につけ、子ども達に伝えていけるように日々暮らしていく大切さを、重ねて申しあげたいと思います。

磯邊季里 @ 2016年06月02日 14:44 コメント: (0)

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