<バンコク>子育てセミナー「食育を考える~気づきと学びの子育て法」

2016年6月23日

去る5月26日(木)、タイ・バンコクのデコールクラフトスタジオで食育をテーマにした子育てセミナーを行いました。日本でも5月初旬に同じテーマでのセミナーを行いましたが、基本として大切なことは同じでも生活する環境によって伝え方を変える必要があると思います。ホームページに日本での活動報告を載せておりますので、よろしければご参照ください。
 何かと悩みのある子育てのなかでも、食に関することへの悩みは多く寄せられるものです。また、社会の中での食への関心も常に高いものがあるように思います。食は安全性が問題となるだけではなく、現代では家族の在り方という問題につながる側面もあり、残念ながら幸せな匂いのするニュースはあまり目立ちません。
 日本でもこの状況であるのに、ましてや海外での子育てとなると、お母様方は「食」について悩ましい日々を送られていることでしょう。バンコクは海外の中では日本食を調達しやすいとしても、日本とは異なる社会・文化のなかで、日本人として当たり前のことを大切に暮らしていくにはそれなりの「意識」が必要でしょう。「意識」するというとき、はじめのうちは特に「緊張」を伴うもの。海外での子育てセミナーの目的の一つは、この「緊張」とも言える「なんだか難しそう」「上手くできるか不安だ」といったイメージを和らげるお手伝いをすることにあるように思います。
 
 さて、子育てにおける食育としてのお話しでは「正しい食生活」「偏食をなくす」「よく噛む」の3つを柱にしています。成長期ならではの大切な柱と言えるでしょう。これを踏まえたうえで、どんな年代の人にも共通に大切な「食を介したコミュニケーション」という視点を改めて意識していただきたいと思います。家庭の中のお食事中の会話はもちろん、食材を買い物に行くときにだって、お店の方とのコミュニケーションは生まれます。地域によっては旬の素材を知ったり適した調理法を知ったりと、そこには生活が楽しく豊かになるようなヒントがあるのです。お店の方と会話しているのが大人だったとしても、そばについて来ている子ども達がそんな日常のなかにいれば、子ども達の意識は変わってくることでしょう。食を介したコミュニケーションの場では食べることって楽しいのだな、そう感じるきっかけに富んでいます。
 食事は子どもが生きていく栄養を摂るだけでも大切なのに、私達人間には「マナー」というものがあるので、お母様方は「きちんと躾をしなくては!」と、さらに食の問題を深めてしまうことも多々あるようです。工夫も根気も要るかもしれませんが、食べることを「楽しいな、美味しいな」と肯定的に捉える子どもなら、きっと問題なくマナーを身につけることができるでしょう。ここでも食を介したコミュニケーションが力を発揮するのです。
 食事のマナーというとお箸の持ち方や使い方に気が向きがちですが、お手洗いに関するルールもきちんと教えてあげたいものです。食事中には席を立たない、お手洗いは食事の前に済ませておく(膀胱の発達にも関わると言われています)、これは小さい頃から身につけさせましょう。

 今回の食育セミナーに寄せられた感想にも「躾について考えるとても良い機会となった」というものがありました。日本のご両親と接する機会が限られるので、身近な先輩から子育ての迷いに対するアドバイスを得にくい状況にあり、そのことが躾に対する漠然とした自信のなさにつながっているような気がすると書かれていました。この方は今回のセミナーを受講したことで、ご自身が子どもの頃にご両親から繰り返し教えていただいていた「躾」にまつわることを思い出したとおっしゃいます。そしてその内容が、時を経た今でも変わらずに大切なことだと実感されました。
 子どもへの躾だけではなく私達大人の生活においても、どこに住んでいても日本人として大切にしたいことは変わらずにあるものです。特別なことではなく当たり前のことを当たり前にできているか。大人の私達についても時々胸に手をあてて考えてみるべきかもしれません。子どもと一緒に親である大人達も親として学び、成長していくのですから。
 「気づきと学びの子育て法」というタイトルの通り、子育てで大切なことは何も目新しいことを発見するのではなく、以前から丁寧に繰り返されてきたなかにあるように思います。そこにある大切なことを気づける心の余裕と感性を持っていたいと思います。
 子ども達を育て導いていくお母様方ですが、どうぞ肩の力を抜いて、子どもと一緒に学んでいく気持ちで、大切な事を一つ一つ積み重ねていってほしいと願っています。

磯邊季里 @ 2016年06月23日 14:24 コメント: (0)

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