<子育てセミナー>「ワクワク子育て!」~気づきと学びの子育て法~

2018年1月24日

 1月15日月曜日に、玉川高島屋屋上にある玉川テラスで、今年はじめての子育てセミナーを行いました。「本当の知力を身につけさせる方法、子育てで大切なこととは?」というシリーズで開催しているこのセミナーには、普段お稽古場でお目にかかるお母様方以外にも、このセミナーだけに参加してくださる方もいらっしゃいますし、セミナーに参加されたことからお稽古場にいらっしゃるようになった方もいらっしゃいます。セミナー初参加のときに出会った赤ちゃんはまだ4か月だったのに、今ではもう歩き出し、赤ちゃんとは呼べないような成長ぶりを、親戚のような気持ちで嬉しく拝見しました。他にも赤ちゃんや小さなお子さんをお連れの参加者がいらっしゃり、そろそろ年長進級、小学校受験が具体的に進んでいくことに緊張気味のお母様方は、とても癒されたのでした。
 セミナーの冒頭で皆様に自己紹介をしていただきました。「楽しく子育てをしたいのに、現実はなかなかそのようにできない」「長子はもう中学生、一度は経験した子育てでも、もう一度原点にかえって第二子の子育てを学びたい」「書籍を読んだことからセミナーに参加してみたいと思った」などなど、それぞれの思いをもってこの場に集まってくださったことが伺えます。とても落ち着き恵まれた環境で、子育てを大切にしている思いに導かれた皆様がお集まりになっていることが感じられます。ふと立ち止まり、ご自身の考えや気持ちと対話していただきながら、私のお話を聴いていただける、今回もそんなセミナーとなりました。

 もうすっかりお馴染みになりましたが、まずは「このセミナーが終わった時にどうなっていたら最高か」について書いていただきました。限られた時間のなかでお伝えしたいことは沢山ありますが、このひと手間は外せません。ご自身の手で考えや思いを書き留める。何でも「写メ」してしまえば済むかのような世の中で、こと子育てにおいてはこの手間を大切に積み重ねていってほしいと思います。自分だけが読むものであっても、きれいな字で書く習慣をつけましょう。子どもの習慣へとしっかり伝わるものなのですから。
 今回は特に10歳までの子育てを意識してお話しをしました。この頃までに、何しろ土台を作る!そんな覚悟を持ってほしいと思います。今はスマートフォンという、お母様達の目の届かないところで子ども達の世界が広がっていく時代、その状況になってからあたふたと子どものスマートフォンをこっそりチェックするような対処法をとるべきではありません。信頼関係をどのように築いていくのか、子育てでとても大切なことです。
 テーマに定めた「ワクワク子育て」、これには子育てが上手くいくヒントが込められています。子育てと言うものの実は親も一緒に成長する、そんなチャンスがあると考えれば、肩の力を抜いてワクワク楽しめそうではありませんか?もちろん、そのためのポイントは幾つかあります。例えば時間の過ごし方についてです。
 子どもとのゆったりとした豊かな時間を楽しめているでしょうか?そもそも「ゆったりとした豊かな時間」とはどんなものなのか、イメージできない人もいらっしゃるかもしれません。昨日、お稽古場の子ども達と毎年恒例の凧揚げをしました。冷たい風が強く、苦戦する子どもが多い中で、ご機嫌な様子で凧揚げを楽しむ女の子がいました。推察するに、おそらく彼女のお母様は子どもの頃に凧揚げを楽しんだ経験があり、今回の凧揚げに向けてお家で一緒に準備の時間を持たれたのでしょう。その時間はお母様にとっても彼女にとっても楽しいひと時であったに違いありません。例えばこれが、ゆったりとした豊かな時間と言えると思います。
 お母様の得意な分野を生かし、親子で楽しむ。幼稚園から帰ってから、そんな時間を是非日常的に持ってほしいと思います。子どもに様々な経験をさせてあげたいと願って、複数の習い事をさせるご家庭があります。しかしインプットばかりしていても子どもの力にはならず、いわゆるつまみ食いで終わってしまい、忙しいスケジュールに子どもも親も疲弊し、いつも時間に追われるという事態も見受けられます。まずは幼稚園や学校での活動に十二分に取り組むことが一番大切です。先生方が準備し、教えてくださることを目一杯享受できるような環境作りを目指し、幼稚園や学校を楽しむことがとても重要なのです。
 もう一つ、ワクワク子育てのヒントは「時間管理」にあります。何かやらなければならないことがあるときに、子どもは「あとでやる」と言い、結局は時間不足となる、こんな話をよく聞きます。同じ時間でも、大人の感覚と子どもの感覚が違うことを意識しましょう。つまり予定をタイトに決めすぎないで、「のり代」とも言えるようなゆとりを心がけるのです。時間管理ができなければゆったりとした豊かな時間をつくることができませんし、この余裕のなかで生まれる会話から、子どもは言葉を覚えることができます。
 子どもの個性によっては、時間管理に工夫が必要なこともあるでしょう。そこはお母様の知恵の出しどころ!表やカードを作るなど、楽しい工夫をして乗り越えましょう。それでも上手くいかず、ついイライラしてしまうことがあるかもしれません。そんな時はちょっとした言葉を思い出してみてください。このセミナーでは「輝くことば」として、「あいうえお」からはじまる子育ての鍵となるような言葉を紹介しましたし、求める気持ちがあれば色々なところでお母様一人一人の琴線に触れるような言葉との出会いが得られるものだと思います。
 ワクワクしながら、10歳までの土台となる子育て期を楽しむ。それができたらどんなに良いでしょう。多くのお母様がそれを望みながらなかなか実現できずにいらっしゃいます。
けれども今回お話ししたヒントに、何も特別なことはありません。情報に振り回されずに、日本人が昔からやってきた子育ての知恵を見直し、ゆったりと豊かな親子の時間を大切に過ごしましょう。どの子にとっても子育て期はかけがえが無く、限れらた時間なのですから。生活習慣においても学習においても言えることですが、大切なことは繰り返し繰り返し、基礎的なことを反復して身につくものです。こういった丁寧な積み重ねによって得られたものこそ、その後の成長を促し支えるものになることを忘れないでください。そして私達大人も、大切で基本的なことをついつい忘れがちになることはありませんか?今回お話しした内容も、様々な場面でお話ししたことが含まれています。毎日を必死に過ごしているお母様方にとっても、このセミナーのような場で、時々ふと立ち止まってご自身の子育てについて思い返してみる、そんな時間がとても大切だと考えています。大切で基本的なことは繰り返し繰り返しで身につける、子どもも大人も一緒なのですね。
つい先日行われた大学センター試験ではムーミンに関する出題があり、話題になりました。ゆったりとした豊かな時間を過ごす習慣を持った子どもならば、良い答えを思いつくことでしょう。

 セミナーの最後に書いていただいたアンケートには、次のようなコメントが寄せられました。ほんの一部ですが、ご紹介します。

・お話を伺い、反省ばかりです。まずはゆったり、子どもの話を聴いてあげたいです。
・自分の気持ちが明るくなりました。今しかないこの時を、子どもと向き合いたいです。
・再度、生活を見直そうと思いました。
・余裕のない毎日の理由が分かった気がします。
・自分は子どもにとって良いお手本か?きちんと考えていこうと思います。

 都心でも積雪がある寒い寒い一月の一日。それでもふと植え込みに眼をやると、沈丁花の蕾が赤く色付いていました。時に厳しい環境であってもするべき準備を整斉と行い、花開く日をじっと待っている。そんな自然の姿に、何か教えられる思いがします。限りあるかけがいのない子育てについて、また皆様とゆっくりお話してまいりたいと思います。

磯邊季里 @ 2018年01月24日 08:30 コメント: (0)

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