<東北キャンプ>3日目

2018年4月24日

朝4時。まだ外も真っ暗な中、眠そうな目をこすりながらも起き上がる子ども達。ログハウスからこすもす公園までダッシュするたくましさ。みんながここまで頑張る理由は、そう、三陸鉄道貸切日の出ツアーです。来る前に小学生のお兄さん、お姉さんが話しているのを聞いていた年長さんもとても楽しみにしていました。おいていかれまいと必死で着替える姿は、微笑ましい限りです。

無事に全員が時間通りに着替えを済ませ、車3台で釜石駅へ。駅に着くと車掌吉田さんがお出迎えしてくれました。
電車を見るなり、『ねぇ、もう乗っていいの?いい?』と興奮するこどもたち。車掌吉田さんの合図で掛け乗ります。
三陸鉄道の景色は、実に美しく、子ども達もカメラに収めようとシャッターをきっていました。昨年も途中下車したピンクの駅、恋し浜駅に停車。お願いごとを書いてきました。みんなのお願い、叶うといいですね。

運行中は、吉田さんが三陸鉄道のことや三陸海岸のことについて教えてくれました。東北311後、三陸鉄道が復興するにかかった時間は実に7年。それでもまだ北リアスと南リアスは繋がっていません。海岸近くの家はほとんどが2011年の震災以降に建て替えられたもので、その範囲の広さを知ると子ども達の表情にも少し陰りが見えました。今回参加している子の半分以上は、2011年以降に生まれていますが、子ども達なりに何か感じるところはあるようで皆吉田さんの話をよく聞いていました。三陸鉄道は、来年3月に北と南がつながるそうなので、また皆で来れたらいいですね。

釜石駅到着後は、そこからマイクロバスでラグビーのスタジアムを見学しに行きました。今回は特別に手配してくださいました。ここは、もともとは小学校があった場所ですが、2011年の津波で流されてしまいました。現在この小学校は、山を切り開いて建設された高台にあります。スタジアムに行く途中に見えた新しい小学校。それを見ているからこそスタジアム建設地に着いた時にどれほどの被害があったのか実感できます。何もないまっさらな土地に建設されているスタジアムは、もしものときを考慮し、裏山へ登る避難道が作られているそうです。この避難経路は、津波の時に小学生が駆け上がって助かった場所だそうです。自分達と同い年齢の子たちの話は身近に感じるようで、皆よく話を聞いていました。

釜石駅に戻ると、嬉しいサプライズが待っていました。釜石のラグビーチーム、シーウェーブスの桜庭監督とマヘ選手が来てくれたのです!ここでずっと練習してきた英語での自己紹介を発表します。一人ずつ、この旅のために作った名刺を持ち、Let’s try! ドキドキしながらも、”My name is …. I like…, Nice to meet you” と堂々と自己紹介することができました。自己紹介を終えた子供たちは、『ちゃんと言えたよ!』と嬉しそうに報告してくれました。達成感を味わっている子供たちの顔を見るのは、嬉しいですね。You did very well! I am so proud of you all!

ラグビー選手と一緒に、恒例の市場でのお買い物。常連参加者はすでにお目当てのものがあり、それを見越してお小遣いを持ってきています。『ホタテは?』と市場のお母さんたちに聞くと、なんと今回は出荷規制の時期でした。『ママに頼まれたのに。。。』と残念そうなこども達でしたが、市場を見回っているうちに他にもいろんなものを見つけお土産を買っていました。限られたおこづかいを最大限に有効活用すべく、『あと1000円だけど何がかえるかなぁ?』と市場を歩き回っていました。

ラグビー選手と市場でお買い物をした後は、桜庭監督のお話タイムです。ラグビーワールドカップの参加者人数は、オリンピック、サッカーワールドカップに続き世界3位の国際大会で、来年の開催時には、数百万人もの人が世界各国からこの釜石の地にやってくると予想されているそうです。桜庭監督からは、『遊びも、勉強も全部一生懸命やり、仲間を大切にすること』というメッセージをいただきました。そのあとに、マヘ選手への質問タイムでは、『トライしたときはどんな気持ちですか?』、『大きな大会は緊張しますか?』などたくさんの質問が飛び交っていました。

お話の後は、ラグビー選手と一緒に銀河鉄道SLに乗車。黒い煙をもくもくとはきながら、ポーッポーッと大きな音をたてながらやってくるSLを皆キラキラしたまなざしで見つめていました。SL内では、ラグビー選手にサインをもらったり、一緒に写真を撮ってもらったりと貴重な時間を過ごしていました。

洞泉駅で下車し、こすもす公園まで歩いて戻るとお母さん達がバーベキューの準備をして待っていました。出来上がるまでは、ラグビー選手と遊びタイムです。ラグビーを習っているこども達はキックを披露したり、他のこども達もタックルを練習してもらったりと有意義な時間を過ごしていました。

そうこうしている間にバーベキューの準備が整いました。ムール貝やホタテ、新鮮なイカやさんまなど東北でしか食べられないものをたくさん用意してくれました。桜庭監督に『いっぱい食べないと大きくなれないぞ』と言われたくさんお替りにくるこどもたち。あっという間に完食です。

お昼ご飯の後、先発チームは東京に帰る準備です。どろんこになった服から東京に帰るように綺麗な服に着替えて、忘れ物がないか確認、恭子先生の大きな壁画やピノキオの滑り台などこすもす公園や釜石の全てに大きく手を振ってお別れをし、いざ出発です。新花巻駅までお母さんもお見送りに来てくださいました。「車では冬眠ゲームをするよ、はい目をつぶって、よーいスタート!」この掛け声で車内は静まり返りました。

後発チームの東北キャンプはまだまだ続きます。午後は思い切り公園で遊んだ後、川へ向かいました。年長さんと違ってやはりお兄さん、お姉さんな小学生チーム。川での石投げも向こう岸に届くくらいまで投げることができます。川渡りも慣れたもので、川中まではあっという間に着いてしまいます。それでもやっぱり水辺で足を滑らせる子はいるものです。川遊びの後は、やっぱりお風呂へ直行です。
皆のお風呂タイムを待っている間は、お勉強タイムです。日記を書いたり、漢字や算数の宿題をやったりました。朝、桜庭監督にいただいたメッセージが響いているのか、思い切り遊んだ後はメリハリをつけて勉強していました。

新花巻駅についた先発チーム、今度は送ってくださったお母さんを「ありがとう!また来年来るからね!」「気を付けてもどってね!」と車が見えなくなるまで追いかけてお見送りしました。
新幹線の出発までまだ少し時間があるので、リュックとお土産、お母さんが作ってくださった夕食用のお弁当をカラスに取られないように、日差しで新鮮な魚介類が傷まないように場所を探してまとめて置きました。恒例のアイスクリームタイムを終えると、完全お目覚めモードで宮澤賢治の作品が刻まれた石碑から奏でられるセロ弾きのゴーシュのメロディーを聴きつつ、東北最後の時間を楽しみました。
いつまでも続いてほしい時間ですが、明日は月曜日。それぞれ小学校、幼稚園生活に戻ります。こちらもしっかりスタートさせるために小学生は全員宿題の最終チェック、年長さんも今日の分の絵日記に取り掛かります。意外と苦戦したのが年長さんたち、車で冬眠ゲームをしたこともあり、長すぎる一日、何が今日の出来事だったのか境目が分からなくなってしまいました。それでもみんなで話していると「カモシカを見たのも今日だ!」「ラグビー選手とも一緒に遊んだ!」などよみがえってきて、手が動き始めました。
6時半からは全員で夜ご飯です。お母さんが作ってくださった愛情たっぷりのお弁当を全員きれいに完食しました。
そして2時間40分の新幹線の旅を終え、東京駅に到着。出発前よりも一回り逞しくなった表情でお迎えに来てくださったご家族のもとへ。

そのころ、こすもす公園にいる後発チームは、夕食を食べ、早めに就寝しました。と思ったら、流星群見たさに10時くらいに起きてきた子ども達。去年の満天の星空がよほど印象に残っていたのでしょう、出発前から「今年もこと座流星群は見られる?」と何度も確認していたのです。今年はちょっぴり曇っていましたが、暗闇に目が慣れてくると流れ星を見ることができました。自然のプラネタリウム。この続きは夢の中で。。。

磯邊季里 @ 2018年04月24日 22:20 コメント: (0)

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